魔王。

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 ――目を覚ます。
 その瞬間俺が感じたのは、今までの事は全て夢だったのではないか、という事だった。だが、すぐ隣には俺の腕を抱きながら寝息を立てているレアリィの姿があって、その先にある壁際には腰の部分が壊れた鎧と鎖帷子が立て掛けてある。
 ここは剣と魔法が存在する危険な異世界。
 俺が選んだ、俺の世界だった。



 目を覚ましたレアリィに朝の挨拶を行い、閉じていたカーテンを開く。そこから視線を外に向けると、破壊された城門・城壁に使われていた木材や石材を、演習から戻って来た兵士達が片付け始めているのが見えた。
 朝食を食べたら俺も手伝おう。そう思いながら窓から離れ、ベッドに腰掛けると、体を起こしたレアリィが俺の上着を無造作に捲り、
「……大丈夫、だよね」
 左腹にそっと触れながら呟きを漏らす。俺はそれに「大丈夫だよ」と返事を返しながら、昨日の出来事を思い返していく。

 先生が停戦を呼びかけた後、大量に入り込んで来ていた賊はその全員が武器を放棄し、兵士達に捕らえられていった。
 そもそも彼等はゲイルの仲間ではなく、全て金で雇われた冒険者や傭兵、更には魅了の魔法で操られた者達であるとの事だった。ゲイルはその戦力を使ってディーシアを抑え、魔王の座を我が物にしようと画策していたのだ。
 そんなゲイルがミールトのような男を魔王候補として選んだのは、彼が単純な思考の持ち主である事――つまり大臣達に操りやすい、傀儡として使いやすい相手だと判断したからの事だったらしい。
 だが、蓋を開けてみれば、ミールトはどうやっても落とされるという判断が下されていた。
 大臣の一人を誘惑し、自分の思い通りに事を運ばせようとしていたゲイルはそれに激怒。その誘惑を跳ね除け、俺達の事を君付けで読んでいたブラトという名の大臣を殺害。ミールトを無理矢理魔王の座に座らせ、その実権を全て自分の物にしようと企んでいたのだ。
 その為、もしゲイルの予定通りにミールトが魔王に選ばれていた場合、雇っていた冒険者達はディーシアの城壁を破壊したりする事はなかったらしい。だが結果的に城壁は破壊され、双方ともに多くの怪我人が出る事となった。
 捕まった賊は今後一人ずつ話を聞き、厳罰として労働などを行わせる事が決まっているとの話だった。だが彼らはこのディーシアで行われている魔王選定のシステムを知らされていないようで、そこまで重い罰は与えない、との事でもあった。
 というか、私欲の為に魔王の座を得ようとする者が現れた事は、過去にも何度かあったらしく、賊に対する対応自体は速かった。しかし、大きな問題がある。
 この国の政は大臣達が中心となって行ってきた。しかしその一人が殺され、そしてゲイルの誘惑に屈していた一人が立場を失脚。現在この国の大臣は一人となってしまっている。それでも一応国の政治は維持していけるらしいのだが、
「俺達魔王候補はどうなるんだろうな」
 こんな状況では今回の魔王選定試験は無効になるだろうし、だからといって魔王の座を空席にし続ける訳にもいかないだろう。そう思う俺に、レアリィは少し悩みながら、
「このまま試験を続行する可能性もあるけど……でも、この状況だと難しいよね」
「だよな」
 一体どうなっていくんだろうか、と思っていると、部屋の扉がノックされる音が響き、
「真鳥様、コースト様、朝食の用意が整いました」
 紫藤さんの声が、部屋に響いた。



 食堂に向かうと、ゲイル達を除いた魔王候補とそのパートナーが全員揃い、そして先生と夜城達の姿が見えた。どうやら今朝は『魔王』の事情を知る者達だけで食事を行うのか、メイドさん達の数も少ない。そんな中で、先生の隣に開いた二つの席にレアリィと腰掛けると、それと同時に紫藤さんが先生の斜め後方に立ち、
「これで全員御揃いになられました」
「解ったわ。でも、イフナを呼ばなくて良いの?」
「はい。彼は私に任せると、そう言っておりましたので」
 一体何の話だろうか。そう思っていると、紫藤さんへ頷き返していた先生が俺へと視線を向け、
「昨日は良く眠れた?」
「はい、一応は」
 俺が傷を追い、そして『三つの願い』を叶えたかもしれない事実は、友人の恋人であるという先生には告げてある。その事実に先生は驚いていたが、それでもどこか納得した様子で、
『あの学校に彼が居た理由が、ようやく理解出来た気がするわ』
 と微笑んでいた。
 とはいえ、正直俺は今も自分自身に起きた事が信じられない。だがしかし、傷を一瞬で治すような奇跡を可能にするからこそ、死神とも呼ばれる俺の友人は、先生や夜城達を不老不死にする事が出来たのだろう。
 そんな風に考えていると、不意に先生が立ち上がり、そして部屋に集まった者達の顔をぐるりと見回し、
「食事の前に、まずは無くなったブラト様に黙祷を捧げましょう」
 そうして先生が両手を組んでそっと目を閉じた。俺はそれに習うように目を伏せながら、俺を魔王に選ぼうとしてくれていたブラトの姿を思い出す。
 俺には政治は解らない。それでも、このディーシアが良い国だという事は胸を張って言える。例え彼らの傀儡になったとしても、この国の平穏が続いていくのならそれで良いとすら思えるほどに。
 だが、ゲイルのような存在が現れた以上――過去にも似たような状況があり、それを乗り越えてきたのだとしても、それが定期的に繰り返されているのなら――取り返しの付かない状況になる前に、この国は変わっていかなければならないように思えた。
 そうしてそっと目を開くと、先生がそっと両手を解きながら、
「――次に、みんなに伝えておく事があります」
 そう言って、机の上に置かれていた封筒を手に取った。そして先生は三つ折りになっているそれを広げると、
「最終決定権を持つ大臣が一人になってしまった事で、今回の魔王選定試験は一次試験での結果で魔王を決める事となりました。ですので、今からその結果を発表します」
 その言葉に、一瞬食堂にざわめきが走る。先生はそれが収まるのを待ってから、紙に視線を落とし、
「『筆記と面接の結果、新たな魔王として選出するのは――』」
 俺を、見、
「『――真鳥・五月である』」
 その瞬間――ブラトの事があり、予想していた言葉ではあったものの――やはり驚きがあった。そんな俺の隣に座るレアリィが「ほ、本当ですか?」と驚きの声を上げ、クーさんが「やっぱりお兄ちゃんが選ばれたかー」と微笑み、それに続くように周囲のみんなが次々に俺に好意的な言葉をくれて、
「って、ちょっと待ってくれ。アリアと爺さん、二人は俺のライバルだろ?」
 驚きと共に問い掛けると、アリア達は微笑みを浮かべ、
「わたしは誰が魔王になっても応援するつもりで居たよ?」「私もじゃ」
 ついでと言っては何だが、虎落の爺さんに続くようにラスニチカが俺に向けて頷きをくれた。その隣に腰掛けるカイナが俺を見、
「……『当然の結果なのだろう』だって」
「いや待て、当然も何も、俺はただの一般人で、そもそもこの世界の人間ですら……」
 と、そう言葉を続けようとした俺を押さえるように先生が微笑み、
「だからこそ、じゃないかしら。昔から、魔王には無知である者が選ばれる傾向が高かったけれど……でも、それはミールトのように『何も知らない』事を指している訳じゃないの。無知である事に甘んじず、世界に目を向ける事の出来る者を選んできたのよ」
「それが、俺だと?」
「ええ。貴方は確かにこの世界の人間では無いけれど、過去の記憶を取り戻し、『こちら側』の人間としての知識も得ている。そして今も勉強を続けていて……そういったところが評価されたのだと思うわ」
「でも、それを言ったらアリアだって、」
 そう言葉を続けようとしたところで、しかしクーさんがそれを遮るように、
「アリアちゃんには残念だけど、お兄ちゃんで決定だと思うよ? 何せ昨日の状況の中、お兄ちゃんとレアリィだけが平然とちーちゃんの宣言を聞いてたんだから」
 それは俺がテオの正体、そしてラスニチカの強さを知っていたからで……当然巻き起こった炎の竜巻には驚いていたのだが、夜城達が無差別に人を殺すような奴等では無いと解っていたから、どうにか動揺せずに居られただけなのだ。
 だが、改めてその状況を考えてみると――先生は賊に停戦を告げる為に一歩前に出て声を発して、しかしその隣には俺の姿があった。
 とすると、
「……もしかして、俺が魔王だと、何も知らない賊や兵士達には勘違いされたかもしれないって事ですか?」
「そういう事。でしょ、ちーちゃん?」
「クレアの言う通りよ。だから無理に魔王になってくれ、とは言わないわ」
 それは辞退しても構わないと言うことか。
「俺は……」
 昨日の戦闘で、幸いにも国民に被害は出なかった。だがそれは、ゲイルが国民に騒がれないよう手を打っていたからに過ぎない。
 もし今後何か大きな事件が起きた場合、今度は国民の身に危険が及ぶ可能性がある。つまりそう、飾り物の存在とはいえ、魔王はこの国に住まう人々の命を預かる事になるのだ。
 今まで漠然と『魔王に成れたら良い』と思っていた。政は大臣達が行っていくのだし、それでもこの国を良くしていければ良いと、そう楽観視していたのだ。しかし現実は違う。飾り物とはいえ、国民からすればそれが王なのだ。傀儡だからなどと、そういった事は関係無い。今更のように、俺はそれに気付かされた。過去にクーさんが言っていた『魔王になれば、人々の命を否応無しに握る事になる。そして死ぬまで苦しみ続けるの』という言葉の重さが、今になってようやく実感出来た。
 ああ、ミールトが選ばれなかった理由が良く解る。彼を候補としたゲイルは『傀儡である』というところにしか目が行っていなかったのだろう。だが、大臣達の言う事だけを効く人形では魔王は勤まらない。実際の王と同じように民を護るという気持ちを持ち、国民の支持を集める事の出来るカリスマがなければ『魔王』は勤まらないのだ。
 だからそう、俺もゲイルと同じだ。上辺だけの言葉しか見ておらず、その中身が見えていなかった。
「……俺には、そんな大役は……」
 そう言葉を続けたところで、そっと手を握り締められた。それに思わず下がってしまっていた視線を上げると、隣に座るレアリィが俺を見つめ、
「大丈夫。私が半分支えるから」
 魔王候補としてのパートナーであり、そして恋人である少女の言葉に続くように、先生が微笑み、
「私も、培ってきた知識と経験を使ってフォローするわ」
「私もじゃな」と、響いてきた言葉に振り向けば、背後に座っていた虎落の爺さんが笑みを浮かべ、
「『魔王』というものの実情は、昨日アリアの穣ちゃんと共に説明を受けた。じゃからこそ、私はお主を支持しよう。なに、理由は簡単じゃ。以前、お主を占ってやった事があったじゃろう?」
 言って、爺さんは笑みを強め、
「――あの時にな、私には既にこの未来が見えておったんじゃよ」
 そう嘘か本当か解らない事を言って視線を戻した爺さんの向こう、草薙さんは少々の戸惑いのある表情で、
「自分は虎落殿を魔王に、と思ってやってきたからな。一次の結果で決めるのでは無く、出来ればもう一度試験を行って貰いたいと思う」
 だが、
「真鳥君ならば、と思うのも事実なのだ。君が誠実な青年であるというのは、日々剣を交えている自分には良く解っているからな」
「草薙さん……」
「故に、君が信念を持って魔王となる意志を固めたのならば、自分も君を支持しよう」
「……『我もだ』、だって」
 小さく告げられた声に視線を向ければ、カイナとその隣に腰掛けたラスニチカの姿が見えた。漆黒の鎧は俺に視線を向けるように兜を傾け、
「……『我は勇者であり、その主は一人しか居らぬ。しかしお主がかつての魔王と同じ道を歩むのであれば、この力を貸そう』」
 カイナの口から代弁されるそれに、周囲に驚きが走る。ラスニチカはこの国の初代魔王を知っているという事だからだ。
 同時にそれは、もし俺が傀儡としての魔王になるのならば力は貸さないが、しかしそうでなければ――草薙さんの言葉にあったように『自分の信念を持って』魔王になるのならば、今までのように力を貸してくれるという事なのだろう。
 そんなラスニチカに娘のように護られるカイナは、今ではこうして人の多いところでも殆ど萎縮せず椅子に腰掛けている。そんな彼女が俺を見上げ、
「……わたしも協力する。五月の力になりたいから」
 少し恥ずかしそうに告げられた言葉に続いて、アリアが俺に視線を向け、開口一番「ごめんね」と謝ってから、
「昨日ああして戦闘があって、『魔王』がどんな存在なのか聞かされて……わたし、魔王候補から辞退しようと思ってたの。クレアさんに誘われてこの国に来たけど、わたしには真剣さが全然足りなかったって解ったから……。だから、わたしも五月君に魔王になって貰いたいと思う」
 眉を寄せた笑みで言い、しかし慌てたように両手を胸の前で振ると、
「あ、でもね、だからって五月君に魔王を押し付けようって訳じゃないの。言い訳みたいに聞こえるかもしれないけど、それは本当。わたしには無い覚悟とか勇気とか、五月君はちゃんと持ってるって解ったから」
「だから、という訳ではないが、俺の知識も貸し出そう。どうやらこの国の魔王はドラゴンを友としているらしいからな」
 笑みと共に告げられたテオの言葉に、先生が「ごめん、つい勢いで」と苦笑する。そして、その背後に仕えていた紫藤さんが、普段と変わらぬ落ち着いた様子で、
「私(わたくし)どもメイドは、どなたが魔王様になられようとも誠心誠意御奉仕する所在に御座います。……ですが、僭越ながら個人的な意見を申し上げますと、」
 言って、紫藤さんは俺を見つめ、
「私(わたし)もイフナも、真鳥様が魔王に成られる未来を望んでいます」
 そうして深く頭を下げた紫藤さんを眺めていると、クーさんが楽しげな様子で、
「これで決まりかしら? あとはお兄ちゃんが覚悟を決めるだけね。……あ、私? 私はほら、今はこの国の魔法使いだからね。いわば魔王様の言い成りなの」
 最後は外見に似合わぬ妖艶な表情で言うクーさんに、『いや、絶対言い成りとか嘘だ……!』と叫び出したくなるものの必死に我慢。言ったら何をされるか解らないし。
 ともあれ、覚悟か。
 レアリィも、先生も、そして仲間達もみんな、俺を応援してくれている。
 とはいえ、正直不安の方が大きいし、自分に出来る訳が無い、と思う気持ちがある。一度否定しかけたのはその為だ。
 いや、そもそも、周囲の期待に答えて魔王になるのが、本当に「覚悟」と言えるのだろうか? そう思っていると、食事を始めていた夜城が俺を見やり、
「俺達には詳しい事情は解らんが、そう意気込む事なのか? いや、まぁ、王様ってのが責任のある地位だってのは当然理解してるが……例え賢王と呼ばれる存在でも、最初はただの一王子、或いは貴族だったんだ。意気込み過ぎてたら、出来るものも出来なくなると思うがな」
 ……あ、当てずっぽうな事を言ってたらすまんな。そういって食事に戻ってしまった夜城達は本当にマイペースだ。恐らく彼等の世界は彼等だけで完結してしまっているのだろう。そんな風にすら思えた。
 だが、夜城の言う事ももっともなのかもしれない。覚悟は当然必要だが、しかし俺はただの見習い兵士だ。仲間達に助けて貰わなければ何も出来ない。
 何も出来ないなら……魔王になって、自分に出来る事を探せば良いのかもしれない。そうすれば自分に出来る事、出来ない事が嫌でも見えてくる事になる。その結果俺に魔王は勤まらないと判断されたなら、その時は素直にその地位を退けば良い。
 ならば、その第一歩は、俺が魔王になると決めるところから始まるのだろう。そう思った直後、再び夜城が顔を上げ、
「言い忘れてたが、俺達もお前に協力する。見ての通り俺達は自分勝手に生きてるが、友人に力を貸さないほど傲慢じゃないんでな」
 それに続くように、その隣で食事を続けていた少女が微笑み、
「私達、これでもガクマ国の元専属魔術師と騎士だからね。ガクマとの国交の取り付けとか出来ない事も無いわ。……多分」
「それは心強いわね。でも、どうしてそんな重要な事を今まで黙ってたの?」
 そう問い掛ける先生に、少女は苦笑し、
「とある事情があって、名前だけ登録されてたのよ。私達の本心じゃなかった上に、一部の人の独断だったみたいで、すぐに撤回してもらったの。でも、その時に国のお偉いさんと仲良くなったから、多少の融通は利かせられると思うわ」
「そういう事だったのね。……あと、今更だけれど、貴女達は何者なの?」
「ただの魔法使いと剣士よ。ちょっと特殊な人生を歩んできただけのね」
 そう少女が苦笑気味に微笑んだところで、食堂の扉が開き、
「おぉ、皆さんここに集まってたのですか」
 言葉に視線を向ければ、そこにはゲイルの誘惑に屈しなかった、そしてこのディーシア唯一となった大臣が立っていた。
 彼は部屋を見渡し、そして俺の姿を見付けると、
「真鳥・五月。魔女から話は聞きましたか?」
「は、はい」
 その言葉に少し慌てて頷き返すと、彼は満足そうに頷きながら、
「第一試験の結果は、魔女から聞いた通りです。そして行われる予定だった第二試験も、貴方はきっと優秀な成績を収めた筈です。ですから、例えこのような状況が起こらなくとも、我々は貴方に魔王という立場をお任せした可能性が高いのです。……ですからそう緊張ならさず、胸を張って下さい」
 大臣の言葉に、周囲の皆の視線が俺に集まった。
 決断するのは今、という事なのだろう。
「……」
 不安も困惑も、本当に自分で良いのか、という迷いもある。
 だが、決めた。
「――はい」
 俺は、魔王になる。
 力強く頷き返すと、自然と周囲に緊張が走ったような気がした。それも当然だ。この瞬間、この国の歴史に新たな王が生まれたのだから。
 そうして満足げに大臣が戻っていき……それを見送っていた少女が俺に笑みを向け、
「それじゃあ、改めてよろしくね、"魔王"」
 そう呼ばれた瞬間、今更のように彼女と自己紹介を交わしていない事を思い出した。いや、会話の流れなどから向こうの名前は知っているし、恐らく向こうもこちらの本名を知っている筈だ。
 なので名前で呼び返そうと思い……ふと、彼女の頭にカイナから貰ったらしいウサミミが今も揺れている事に気付き、同時に彼女自身が言っていたある言葉を思い出した。
 だから俺は、
「こちらこそ、"うさぎさん"」
 彼女――うさぎさんへ、そう笑みと共に告げたのだった。





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