もし……そう、もしも。
 これは存在するかもしれない想像の形。
『IF』でしかあり得ないもの。
 でも、それを確かめる術は無くて、故にそれは『IF』でしかあり得ないのだ。
 そう、例えば貴方が朝、目を覚ます時間。
 布団からでるタイミング。
 朝食の献立。
 家を出る時間。
 とにかく、なんでも良い。
 その一つ一つに選択肢が生じる。
 どんな小さな些細な事でも、その行動を行ったか否かでは、その日一日の歴史が変わってしまう。
 際限のない選択肢でしかないけれど――でも、それは確実に存在している事。
 だから。
『もし』、選ばなかった選択肢のその先の世界。別の歴史を刻んだ別世界が存在していたら。
『もし』、あの時、あの瞬間、別の選択肢を選んだ自分が居る世界があるとしたら。
『もし』、その『IF』を観測する第三者が居るとしたら。
『もし』、物語を読むように、この世界を観ているものが居るとしたら。

 ――例えば、これを読む貴方のように。
 これは、そんな世界のお話。





  

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